広島県においては新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言が解除されましたが、全国的にみると移動の自粛は続いている中、皆様方におきましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、私は広島県細胞検査士会会長を3期6年間務めさせていただきましたが、先月開催いたしました広島県細胞検査士会総会においてすべての議案が承認されたため、これをもって会長の任を終えることになりました。至らない点が多く、会員の皆様方にはご迷惑をおかけしましたが、優しく見守っていただけたこと心より感謝申し上げます。
私が会長になってまず感じたことは、年に一度の総会を開催するにあたって(当時は広島大学広仁会館で行っていましたが)、総会を開催する施設の会員に相当の負担がかかっていることでした。この問題点を解決するため、会場をアステールプラザに変更しました。さらに、役員会で総会のあり方について議論を行い、人と人とのつながりが深まるように茶話会を開催することにしました。また、会費の徴収を徹底するため総会時に現金による会費の納入も受け付けるようにしました。しかし、これらを行うためには、多くの人手が必要になるため、対応に苦慮していましたが、会員から総会の運営に伴う業務は会員にも手伝ってもらってはどうか、というご意見を頂きました。この貴重なご意見は、その後総会での審議を経て承認され、現在では多くの会員が総会スタッフとして重要な役割を担ってもらうようになりました。まだまだ十分な総会の運営方法ではありませんが、役員のみならず会員とともに総会のあり方について議論できたことは、私にとって忘れることのできない貴重な経験となりました。
われわれ細胞検査士にとって、研修会の開催は技術や知識を向上させるためには必要不可欠です。その中でも、顕微鏡を用いたワークショップ形式の研修会は実際の細胞を観察するため意義深く、聴講では得られない知識として日常業務にも活かされます。広島県細胞検査士会としてもこれまで、膵・胆道系、甲状腺・乳腺、呼吸器、各種材料のLBCなどをテーマとしたワークショップを開催しましたが、参加者を募ってみると、思ったほどのエントリーがなかったことには寂しさを感じざるを得ませんでした。しかし、敢えて研修会に参加してガラス標本をみなくても、世間には沢山の細胞診に関するデジタル情報があふれているため、そこから一定の知識を習得できるのも事実です。従って、標本を鏡検する研修会そのものの魅力は、少しずつ薄れているのかもしれません(そう思いたくはありませんが・・)。今後、この形式の研修会については、標本をすべてバーチャル化して行うなど、デジタル世代の意見も踏まえて進化していかれることを期待しています。
会長をさせていただいた6年間はあっという間に過ぎましたが、わたしのわがままな意見や要望をしっかり受け止めて適切に対応していただいた役員の皆様方には本当にお世話になりました。それぞれの役割をしっかりと認識された上での卓越した行動力には「感謝」以外の言葉はみつかりません。私がご一緒させていただいた役員の内、5名は引き続き本会の役員を継続されます。そこに新たに6名の役員が加わり、合計11名の新体制で令和2年度の広島県細胞検査士会がスタートします。十分な経験を持ちイニシアチブをとれるベテランと、しがらみにとらわれない新しい発想をもった新人の考え方が融合することで、半世紀近い歴史を持つ広島県細胞検査士会のさらなる発展のあることを心より願っています。
最後に、会員の皆様方のご多幸とご健勝を祈念いたしまして会長の任を終えた挨拶とさせていただきます。