平成24年10月13日(土)16:00:より、広島大学医学部第四講義室にて広島県支部細胞診専門医会と細胞検査士会の合同講演会が行われました。
講師の谷山 清己 先生より、多施設共同大規模(CCLBC)研究 として検証された約1万件の 「子宮頸部病巣における細胞診従来法と液状検体ThinPrep法の比較」について、研究成果を報告していただきました。
講演のポイント
1) 従来法と液状検体ThinPrep法との比較では、3.1%診断率が向上する。その理由は、従来の塗抹法ではブラシに8割程度残存し、実際の標本には2割程度の細胞量しか反映しないこと。液状検体法では、ほとんどの細胞が反映し診断率の向上を認める。
2) 鏡検時間が短縮されるが、より集中力が必要となる。
3) 従来法では、mild と severe dysplasia の診断に注意を払っていたが、液状検体法では、moderate dysplasia がより注目されるので、その定義を理解することが重要である。
4) 従来法と比較して、核の丸みが強く、クロマチンが弱い。など染色態度が異なる。
5) 我が国でのHPV感染は、タイプ52、58が50%と多く、感染ピークは30代。ただし発癌性は低い。タイプ16, 18は、33%と低いが発癌性は高く、頸部腺癌にも関与する。
最後に永井支部長より、液状検体法における腺癌診断に関しての要望がありました。
文責:小川勝成