平成28年3月27日13時から、広島大学医学部基礎講義棟2階形態実習室にて,広島細胞診研修会「膵臓」をテーマとするワークショップが開催され、43名の方(一部受講のみ参加)が受講されました。
羽原会長の細胞検査士たるや、標本を見ての実力や!との思いから生まれた企画で、一昨年の「体腔液」に続いての企画です。今回は、膵臓のスペシャリストであるJA尾道総合病院の佐々木健司 技師、広島大学病院の尾田三世 技師に講師をお願いしました。約一時間の講義後、40症例の膵液細胞診標本での鏡検実習を行いました。
先ず、佐々木技師よりENPD留置下膵液の検体採取からPanIN、上皮内癌の細胞像、並びにIPMN、EUS-FNA細胞診での注意点など膵液細胞診全般について、スライド80枚を用いて詳細に、わかりやすく解説してくださいました。核形不整が必ずしも癌ではなく、細胞診の基本である核クロマチンの詳細な観察が重要であることを再認識することができました。続いて尾田技師より、慢性膵炎で経験した細胞異型やEUS-FNA検体における細胞診と組織診断の不一致症例の提示がありました。細胞形態だけでは判断が難しい場合もあり、FISH法を用いた新たな診断法についてお話ししていただきました。近い将来、癌領域におけるコンパニオン診断薬を用いた癌細胞の遺伝子変異の検出が組み込まれていくため,細胞診が役立つ新たな可能性を模索しているということで、さらに今後の進展が気になるところです。
半日という短時間の中、講義と実習がぎゅっと詰まった実りある研修会になりました。
今回、ワークショップに関するアンケートを行い、多くの方から意見をいただきました。今後の企画、運用に役立てたいと思います。
さて、来年はどんなワークショップになるでしょうか?乞うご期待です!
文責:杉山佳代