2016年3月13日日曜日

第41回広島県臨床細胞学会総会の報告

 平成28年3月5日(土) 13:30 から広島大学医学部広仁会館にて第41回広島県臨床細胞学会総会が開催されました。参加者は、ここ数年で最も多く163名の参加がありました。一般演題9題、スライドカンファレンス4題と多くの発表があり、活発な質疑応答が行われました。

 一般演題発表後、休憩を挟み、総会が執り行われました。庶務報告では、新たに認定試験に合格された細胞診専門医1名、細胞検査士2名の紹介がありました。

 庶務報告内で、日臨細胞広島会誌のオンラインダウンロード状況について、全国からダウンロードされており、今後もより良い論文作成を期待するとの報告がありました。また広島臨床細胞誌投稿規定の変更では、これまで論文別刷が30部まで無料でしたが、今後は著者負担として1部50円の別刷料が必要になります。そして広島臨床細胞誌のカラー化については、オールカラー化には印刷料が約30万円程度の増額を要するため、まずは一論文につき1ページ分のカラー化から始めたいと報告されました。続いて会計報告、細胞診専門医会報告、細胞検査士会報告がありました。

協議事項として
毎年開催されている広島細胞診研修会より、その発表症例から課題を抽出し、研究的発展に繋げたい旨の提案がされました。今後は、研修会開催の担当者と相談して具体的に検討し、そのための旅費等の支援もするつもりである。
・広島臨床細胞誌は、内容的に優れた論文が多いので、優秀論文を表彰してはどうか。次期役員会で検討したい。
・現在総会で投票により優秀な演題を一つ選び、日韓細胞診合同会議に参加しているが、全体の歳出を考え、援助金の減額を考慮したい。
以上の提案があり、可決されました。

 本年度の細胞診専門医・細胞検査士合同講演会は、中国中央病院副院長の園部宏先生に講演していただくことが決定しており、開催は平成286月予定。

 その後スライドカンファレンスが4題行われました。写真は広島県臨床細胞学会HPに掲載してあります。

 特別講演では「胆膵の細胞診ガイドラインの報告様式について -異型・鑑別困難と判定される症例の取り扱い、そしてPitfall-」と題し、日本医科大学統御機構診断病理学主任教授の内藤善哉先生にご講演していただきました。内藤先生は日本臨床細胞学会の細胞診ガイドライン作成のワーキンググループの統括委員長です。
 細胞診ガイドライン5 消化器の胆膵について詳しく解説していいただきました。IPMNやPanIN、BilINなど概念が変動中の病態もあり、また海外と日本での疾患のとらえ方の違いなども考慮した、細胞診判定について書かれているそうです。
 判定困難症例については具体例を提示して、細胞と組織の写真を丁寧に解説されました。IPMAや嚢胞性疾患、また炎症疾患に癌が合併する場合があること、炎症やステント留置などに伴い異型の強い再生上皮細胞が出現する場合があること。更に、膵嚢胞性病変についても、積極的に細胞診が実施されると強調されていました。
 講演を拝聴して、日頃から様々なピットフォールを念頭に置きスクリーニングが必要と考えました。講演の中で、細胞観察の時に"なんらかの違和感"を感じたときに注意が必要と強調されました。この"違和感"はスクリーニングにおいて、たまに感じるものであり、見過ごしてはいけないものだと、再認識しました。
 講演内容は、来年発刊されます広島県臨床細胞学会会誌に掲載予定です。ご期待ください。

                                     文責:杉山佳代


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